

老富豪はにっこりして言葉をつづけた。「大方の人が誤解していることとして、“人生とは自分が望むものを与えてくれ
るもの" だ、と思っていることがある。
これは大きな誤解なんだよ。だからこそ、自分の欲しいものは明確にしておかなければいけないんだ。願望が漠然としていれば、漠然としたものしか手に入らないし、望むものが小さければ、それに応じて小さなものしか手に入らないんだよ。
どんな願望にしても、具体的でなければならない。具体的な金額を設定したら、それを手にする期限も決めるようにすることだ。ただし、それを実行している人間は少ないがね」
ここで老富豪は一息入れ、しばらくしてまたつづけた。
「君は、このわしが言っていることを疑っているのかね?もし、疑っているようだったら、誰かに、来年はどのくらいの収入を見込んでいるか、聞いてみるといい。その人が成功している人物で、他人に教えることを気にしない人であれば、すぐその場で具体的な金額を言葉にするだろう。しかし、10人に9人までは、そんな簡単な質問にも答えられんだろうね。そういうのは、ちっとも珍しいことではないからな。
君の心や精神は、君がそれに何を期待しているのかを、知りたがっているんだよ。だから、具体的な願望を抱かなければ、具体的なものは、何も手に入れられないんだよ」