現状のぬるま湯を飛び出し成功者になる人と、ぬるま湯にひたリ続けて敗者になる人とでは、決定的な違いがある。ここで一つ、面白いエピソードを紹介しよう。
アメリカ、テネシー州・メンフィスのクラレンス・ソンダースは、なんの変哲もないちっぽけな食料品店で店員をしていた。当時、ビュッフェ式の新しいレストランが人々の間で人気だったので、彼はふと思いついた。「あのレストランと同じように、店の棚にある商品を、客に自分で選ばせたらどうだろう」。
当時の食料品店は、客が欲しい品物を店員に告げて、カウンターの奥から持って来てもらい、気に入れば購入するというやリ方を取っていた。「この新しい方式にすれば、客 はもっと気楽に商品を選べるし、手間がかからない。自由な雰囲気で、人気も出るに違いない」。
このアイデアをさっそく店主に話すと以外にも店主は「くだらないアイデアで時間を無駄にした」という理由で、彼をクビにしてしまったのだ。
そこで彼は意を決し、自らのアイデアを実践するため、四年間資金を貯め、自分で事業を始めた。結果は大当たり。わずか数年で400万ドルもの収益を上けたのである。その後、店は「ピグリー・ウィグリー・食料品店チェーン」となり、そのコンセプトは現代のスーパーマーケットに引き継がれている。
あの時、彼をクビにした店主のように、現状に甘んじていればどうなっていただろう?
こうしたことは、ここ日本でも同じだ。本田技研工業の創業者・本田宗一郎は、「アメリカに勝つなんて無謀だ」という周囲からの冷笑をよそに、日本独自の技術で国産のエンジンをつくるという夢を実現し、世界のホンダを築いている。
彼らに共通していたのは「PMA=Positive Mental Attitude」つまり「積極的心構え]、今風に言えばポジティブ・シンキングである。あらゆる逆境を乗り越える単純かつ不可 欠な要素であるが、しかしこれを維持することは意外に難しい。
多くの人は、自分にないような特別な資質を持っている人だけが成功すると考えがちだが、それは間違った考え方だ。私たちが何かに取り組もうとするときのノウハウは、この世に二つしかない。「失敗するためのノウハウ」と「成功するためのノウハウ」である。
失敗者は単に「失敗するためのノウハウ」を無意識に実行しているにすぎない。この無意識が大きなクセ者なのだ。なぜなら、当人が失敗の原因を自覚するのを妨げているからだ。
では、無意識に「成功するためのノウハウ」を実行するにはとうすればいいのか。そう、これこそが「勝ちぐせ」を習得するということなのである。人生の勝者=成功者にな るための絶対条件だ。
「勝ちぐせ」を習得するためには、優れた成功ノウハウを知ることが第一だ。次にこれを「身につける」こと。「身につける」とは、習慣になるまで繰り返し、瞬時の判断で無意識に実践できる状態にすることだ。そうなって初めて、「勝ちぐせ」が身についたといえるのだ。
成功を目指す人たちが取り組んだ自己啓発や脳力開発が実を結ばない理由のほとんどはこの「身につける」ことができなかったためといえるだろう。
「身につける」ことは言葉でいうほど簡単なことではない。取り組んでいる成功ノウハウが心から信頼でき、なおかつ習得の成果がはっきりと目に見えるように自覚できなければ、なかなか難しい。しかし、そうした信頼に値する成功ノウハウがこの世には存在しているのだ。そして、あなたはすでにその成功ノウハウとの出会いを、今まさに始めているのである。